販売戦略におけるリスクテイクの価値

ビジネスにおいて、時には大胆な決断が必要になることがあります。
単に商品を売るのではなく、お客様に満足してもらいながらも、ビジネスとして利益を確保する。
そのためには、時にリスクを取る「ギャンブル」も必要になるのです。
自己都合の販売ではお客様の満足は得られない
多くの販売店などは、自社の都合で商品を売ろうとします。
しかし、それが必ずしもお客様の満足につながるわけではありません。
たとえば、高価な日本酒である大吟醸をボトル単位で売るのが店の方針だったとしても、価格の高さからお客様が手を出しにくくなってしまうことがあります。
そんなとき、「お客様の都合を優先すること」が大切になります。
ボトル売りにこだわって売れ残るよりも、柔軟な発想でアプローチを変えることが必要なのです。
臨機応変な対応が新たな売り方を生む

あるとき、お客様から「飲んでみたいけれどボトルは高い…グラスではダメですか?」という要望がありました。
本来ならば、ボトル単位での販売が前提であり、開封後の品質劣化のリスクも考えれば、グラス売りは店側にとって不都合な提案です。
しかし、「売れ残るよりはマシ」と考え、一杯1500円でグラス売りを決断。
その結果、最初に試したお客様が「美味しい!」と感動し、それを見ていた他のお客様が興味を持ち、最終的に一本売れることになりました。
ここでのポイントは、「試してみる」という行動力です。
従来のやり方に固執するのではなく、お客様の反応を見て柔軟に対応することで、新たな販売方法が生まれます。
「損して得とれ」の考え方
この経験をもとに、さらなる工夫が生まれました。それが「試飲作戦」です。
お客様がメニュー選びに迷っているときに、「試飲をしてお決めになってはいかがですか?」と声をかける。
しかも、試飲は無料で提供。
これにより、お客様は実際に味を確かめ、自分の好みに合ったものを安心して選べるようになります。
一見、店側が損をしているように思えます。
しかし、お客様が実際に味を知ることで購買意欲が高まり、最終的にはより多くの注文につながるのです。
この「損して得とれ」の考え方は、販売戦略として非常に有効です。
腹をくくることの大切さ

このような戦略にはリスクも伴います。
例えば、大吟醸をグラスで提供した結果、一本売れる保証はどこにもありません。
ですから、こうした挑戦には「腹をくくる覚悟」が不可欠です。
私の場合は、売り切るという意志の強さがあったのだと思います。