働きやすい職場の作り方|接客業に必要な休憩のとりかた

働きやすい職場の作り方|接客業に必要な休憩のとりかた

経営者には、様々な仕事がありますが、最大の任務は「スタッフに働きやすい職場を作ること」 です。

なぜなら、スタッフが元気なお店は必ず繁盛するからです。

スタッフの表情が生き生きとしていて、店内の雰囲気も良いと、お客様の気分まで晴れやかになります。

お客様にとって居心地の悪いお店、すなわちスタッフの元気がないお店で、お客様が安らげるわけがありません。

では、お客様が安らげるような働きやすい職場を作るにはどうすべきか?

その真髄をお伝えします。

働きやすく心に余裕ができると接客に表れる

働きやすく心に余裕ができると接客に表れる

働きやすさのない職場では、サービスの質が低下します。

スタッフの気持ちに余裕がないときに、自分以外の誰かのことを親身になって考えるのは難しいからです。

多くの経営者は、少ない賃金でできるだけ沢山の仕事をしてもらおうとしてしまいます。

しかし、これはまったくの逆効果になります。

四六時中「働け、働け」と、安い賃金のなかで言われてしまえば、どんな人でも神経が参ってしまいます。

少しく らい余裕を持たせたほうが仕事の効率も上がりますし、楽しい職場を辞めようと思う人もいません。

結果的に長く働いてくれるので、自然と育っていくのです。

働きやすい職場をつくるための「一服」

働きやすい職場をつくるための「一服」

働きやすい職場をつくるための方法として、「一服」があります。

これは、帝国ホテルでも実践されていたものです。

たとえば、クローク担当のスタッフは勤務時間中ずっとカウンターの中に立っていなけ ればなりません。

カウンターから見えるのはロビーの様子だけですから、これでは誰もが退屈してしまいます。

そして、その退屈は、表情に出てしまいます。

ですから、数時間ごとに10分程度の休憩を設けてあげるのです。

これを「一服」といいますが、決してタバコを吸うわけではありません。

お茶を飲んだり軽い世間話をする時間です。

短い時間ではあるものの、これだけで気持ちがスッキリします。

また、一服を伝えることも大切です。

私が女将をしていた頃、次のような言葉を言われた経験があります。

「お疲れさま。バックヤードにお茶とお菓子を用意したから、このピークが落ち着いたらちょっと一服しようね」

このように声をかけてもらうだけで、笑顔に戻るのです。

ですから、上司の声かけというのも大切にしておきたいところです。

さらに言えば、一服をとおしてチーム内での話を親身にできるようになるので、チームワークの向上にもなります。

適度に休める働きやすい職場がサービスの質を向上させる

適度に休める働きやすい職場がサービスの質を向上させる

適度な休憩は仕事に緊張感を与え、サービスの質を高めます。

締め付けるより余裕を与えることがスタッフのモチベーションを上げ、お店に長期的な利益をもたらします。

これは、短期間で利益を伸ばそうとしているお店にはできないことです。

しっかりと賃金を払い、休憩をしっかりとってもらうというのは、経営者目線から見れば短期的には非効率に見えてしまうでしょう。

しかし、その結果お店を続けられなくなってしまえば本末転倒です。

お店のため、経営者のため、お客様のためにも、働きやすい職場が必要なのです。

接客コンサルタント:福本 衣李子

青森県出身。 昭和53年帝国ホテル入社。
5年後結婚退職。3人の子育てに目途がついた15年後帝国ホテル子会社、インペリアルエンタープライズに入社。
関連会社のホテル内和食店の女将となる。
女将時代に現場のマネ ージメントをしていく傍らお客様のリピーター化を計るにはスタッフ教育が重要と考え、2005年スタッ フ教育の会社を起業。

2008年 (社)日本ホテルレストランサービス技能協会にて、 日本料理 西洋料理の食卓作法講師認定、 2009年中国料理の食卓作法講師認定、及び日本料理のマスター講師の認定を取得。
現在は一般の方々に も日本料理の食卓作法、立ち居振る舞い等、 日本のおもてなしとして伝承中。 日本橋三越伊勢丹のカルチ ャーサロンのセミナー講師は10年目を迎える。