お客様の要望に応え、断り、信頼関係を構築する|「ひと呼吸」と「歩み寄り」

接客で人の心をつかむには、機械的なマニュアル接客ではなく、真心を込めて全てのお客様に一対一で向き合い、対応することが大切です。どれだけお客様一人ひとりに合わせたおもてなしができるかが、接客員の腕であると言ってもいいでしょう。
お客様によっては、本当にユニークなご注文をなさる方もたくさんいらっしゃいます。「窓際の席がいい」「コースメニューに苦手な食べ物があるので別の料理に替えてほしい」は当たり前、中にはメニューにない料理を頼まれたり、「料理の味つけを変えてほしい」とおっしゃるお客様もいらっしゃいます。
「規格外」サービスの線引き
変則的なご要望に「どこまで」お応えするべきなのかが難しいところです。あまりにも柔軟すぎる対応はお店にもお客様にとってもマイナスになる場合があります。
お客様の言うことを何でもかんでも聞くのがよいサービスではありません。重要なのは、はっきりと見える形でルールを提示し、必ず「規格外」であることをきちんとご理解いただくことです。
お客様のご要望を断る際の「ひと呼吸」と「歩み寄り」

どうしてもお応えできないご要望も存在します。他のお客様の不利益になることや、お店の秩序を乱すようなこと、また物理的に無理なことは、心苦しいところですがお断りせざるをえません。
その場合には、お客様にしっかりとご納得いただけるよう、できない理由を丁寧に説明します。
このときに重要なのは二点です。
一つは、「ひと呼吸」置くこと。パフォーマンス的な要素ですが、こちらが努力をしていることをお客様にアピールするために、時間的な「間」を置くワザです。
二つ目は、「歩み寄り」の姿勢を見せることです。「それはできかねますが、代わりにこちらでしたら可能です」というように、代替案を示すことです。
効果的なお断りの方法
たとえお応えできないご要望でも、「可能な限りお応えしたい」という姿勢は必ず見せなければ、お客様にご納得いただくことはできません。平身低頭謝っても、丁寧さが逆にお客様の気持ちを逆なでするばかりです。
「一応、ここまでの努力はしました」ということをアピールするには、ひと呼吸の間を置いてみるだけでも効果があります。お急ぎのお客様でない限りは、少し時間をおけば頭も冷えますから、ずっとお話ししやすくなるのです。
お客様の本当のニーズを理解する
接客員はお客様の命令に絶対的に従う奴隷ではありません。お客様が本当に欲しているのは何なのか、どうすればお客様を心から満足させ、感動させることができるのかを常に考え続けましょう。
お客様の表面的な要求の裏には、「私は常連だから、スタッフとも親しく、私のお願いは聞いてくれるのではないか」という軽い期待があるものです。この場合、お客様が上等客であることを認識し、適切なコミュニケーションを取ることで、円満な解決策を見つけることができるのです。
お客様と真の信頼関係を構築する

どの仕事にもいえることですが、私たちも今日の仕事が終われば全てが終わりではありません。今日の反省は明日のお客様に活かし、今日の喜びはまた別のお客様に提供する。いつもそんな心掛けを持ち続けています。
「ひと呼吸」と「歩み寄り」の精神を大切にし、お客様一人ひとりと真摯に向き合うことで、真の信頼関係を築き、リピートしていただける接客を実現していきましょう。